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【マレーシア】世界第2位パーム油生産国の未来へのチャレンジ│SDGs


クアラルンプール国際空港へ離着陸する際、眼下に広がるヤシの木がマレーシアの代表的な農産業であるアブラヤシ農園(プランテーション)です。

 

70年ほど前までマレーシアを代表する産業のひとつであったゴム産業は、1955年に世界銀行から天然ゴムへの依存を減らすように提言を受けたこと、そしてゴム農園の経営に比べて生産性、収益性が高いという利点も後押しし、1960年以降急速にパーム油(熱帯雨林にあるアブラヤシから採れる植物油脂)産業へ切り替えが進められるようになりました。今ではマレーシアはインドネシアに次いで世界2位の生産国であり、またパーム油は世界で生産される植物油脂のトップでもあります。

 

食料品(ポテトチップスや即席麺など)や化粧品、衣料品、洗剤など多くの商品に幅広く利用されている「パーム油」の日本の消費量は世界19位(2016年度)となり、私たちの生活にも大きくかかわっているといえます。しかし生産国の現場では、世界的に需要があるパーム油のためのアブラヤシ農園(プランテーション)開発の影響で

1. 熱帯雨林の伐採による熱帯雨林の破壊
2. 熱帯泥炭地(植物が分解されずにできた泥炭が積み重なってできた土地)破壊による炭素の貯蔵庫の破壊
3. 森林火災・泥炭火災による煙害の発生や気候変動
4. 生物多様性の損失(絶滅危惧種のオランウータンやボルネオ象などの生息地の消失)

といった問題につながることになりました。

 

これらのことから、パーム油がダメという結論に結び付けてしまうのは簡単ですが、WWFジャパンのWebサイトにはこのような記載があります。

問題は、パーム油自体ではなく、栽培方法にあります。
環境・社会課題を多く抱えているパーム油に対する批判から、「パーム油を止めて他の植物油脂に切り替えるべき」という主張がまだ根強く残っています。現にパーム油製品のボイコットキャンペーンやパームフリー(パーム油を含まない)製品の販売も行われています。
このような行動は単純で分かりやすいのですが、問題解決にはほとんど寄与しないどころか、時にはマイナスとなることさえあります。
※WWFジャパンWebサイトより引用

アブラヤシの栽培方法を見直すことを目的として、ヨーロッパでは、100%持続可能なパーム油サプライチェーンへの転換を目指す「アムステルダム宣言」が採択され、食品・消費財大手や小売大手が加盟する国際的な業界団体コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)がパーム油の調達が森林破壊の要因とならないようにするための「持続可能なパーム油 調達ガイドライン」を設けるなど企業や団体が動き始めています。

 

世界的には、世界自然保護基金(WWF)やマレーシアパーム油協会、またパーム油のサプライヤーなどによって、国際認証制度「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」が設立されました。RSPOは原生林の新規開発などが禁止されるなど8つの原則のもとに43の項目の国際的な認証基準が設定されています。

 

私たち消費者は、日本でも少しずつ増えてきている「RSPOマーク」がついている商品を選ぶことや、RSPO認証を受けた企業などから商品を購入することで「持続可能なパーム油」の活動に参加することができます。

RSPO以外にもFSC®(Forest Stewardship Council®)認証などがあり、食品パッケージの裏などにFSC®マークを見つけることも多くなりました。

FSC®認証とは
環境保全の点から見て適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理のもと生産された原料で製造された製品にFSCロゴをつけ、消費者に選択の機会を与えることで、誰でも世界の森林保全に参加できる仕組みを提供しています。
※FSCジャパンWebサイトより引用

また、第73回国連総会(2018年)で、当時マレーシア首相のマハティール氏が、パームオイルのボイコットは何十万人もの生産者から仕事を奪うことにつながっていることを述べ、マレーシアは2019年12月までにマレーシアの接続可能なパーム油基準(MSPO)の取得を義務付けることで、マレーシアで生産されるすべてのパーム油は2020年までに接続可能なパーム油となることを述べました。

MPOBパームオイル研究所(クアラルンプール)

MPOB(パームオイル研究所)では、パームオイルの輸出入の研究をはじめ、あらゆる加工製品の研究を行っています。訪問可能箇所は展示場のみとなりますが、実からの抽出方法から、どのような製品へ加工され我々の生活の必需品に使われているかを学ぶ事が可能です。

MPOB(パームオイル研究所) 外観​

ギャラリーの見学

アブラヤシから実を採取しオイルへと精製する過程や、パームオイルを使った製品を紹介します。

アブラヤシの木

名前、または内容 Malaysian Palm Oli Board(MPOBパームオイル研究所)
中心地からの移動時間 45分
営業時間 平日 09:00~16:00(土日・祝日休館)
見学時間(目安) 約1時間
催行人数 2~60名
料金 有料(お問い合わせください)
その他 —-

サウィットキナバル(コタキナバル)

MPOB(パームオイル研究所)では、パームオイルの輸出入の研究をはじめ、あらゆる加工製品の研究を行っています。訪問可能箇所は展示場のみとなりますが、実からの抽出方法から、どのような製品へ加工され我々の生活の必需品に使われているかを学ぶ事が可能です。

アブラヤシの苗

アブラヤシ農園(プランテーション)

アブラヤシの収穫

アブラヤシの木は樹齢3年ぐらいから実をつけ始め樹齢5~10年ぐらいが一番実がつく時期となります。そして25年を境に低下していくといわれています。

アブラヤシの収穫

アブラヤシは収穫してから24時間以内に搾油しなければなりません。収穫したアブラヤシを蒸して圧搾してパーム油になります。

RSPOに関してのレクチャーを受講

名前、または内容 Sawit Kinabalu(サウィットキナバル)
中心地からの移動時間 2時間30分
営業時間 平日 09:00~17:00(土日・祝日休業)
見学時間(目安) 約4時間
催行人数 2~40名
料金 有料(お問い合わせください)
その他 工場内は撮影禁止

すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

暮らしにかかせない「パーム油」だからこそ、私たちに「できる事」を続ける

食品から洗剤まで暮らしに欠かせない「パーム油製品」ですが、パーム油の存在や意味を理解し、課題を認識して、環境保全やその仕事に従事する人々の支援を続けることが大切ですね。

My アクションプラン(一例)

Step 1:インプット│現状を知り、課題を発見する

パーム油以外の食用油を採取するためには広大な土地が必要となり、パーム油以外でも森林破壊を引き起こしている現状がある。

1ヘクタールの土地から収穫できる植物油の量
・パーム油 3.8トン
・菜種油 0.59トン
・ヒマワリ油 0.42トン
・大豆油 0.36トン

Step 2: プロセス│自分の身の回りに置き換えて考える

持続可能な原料を保つために、わたしにできる事は何があるだろう?

Step 3: アウトプット│自分に何が出来るだろう(My アクションプラン)

認証マークのもつ背景や意味を理解し、マークのついた製品を積極的に購入する

3つのステップで、あなたができる「My アクションプラン」を下記のフォームへ入力してアウトプットしてみましょう。

お送りいただいた内容に関しては、弊社サイトにて公開させていただくことがありますので、あらかじめご了承ください。

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